僕が初めて那須町に来た日にも、今日みたいに那須岳の姿がくっきりと見えていました。その姿がただただ美しく、この山を毎日見て過ごせたらと思い、僕は那須町への移住を決めました。
以来、この山を眺め続けていますが、毎日表情が違うし、何回見ても心から綺麗だなと思う。そう思えるものが、生活のすぐ隣にあるって、とても贅沢なことだなと思います。
僕は千葉県の出身で、那須町へ移住する前は、なかなか思うように就職先が決まらず、悶々とした日々を過ごしていました。
そんなときに、偶然、那須町にいる友人を訪ねることになり、行ったその日に那須岳に魅了され、この地への移住を決めました。
移住者インタビュー#2 井下田さん
那須町を訪れたその日に移住を決断
千葉や東京にいたままだったら会社勤めをするほかなかったと思うのですが、那須町ではきっと新しいチャレンジができる、必ず独立しようという想いを胸に刻みながら、軽トラックに荷物を積んで那須町に向かったことを覚えています。
移住後は、しばらくの間、那須町にある20年続くキャンドル専門店で働くことになりました。理想は3年で独立するはずだったのですが、結局7年半もお世話になり、物販に必要な知識を基礎から学ぶことができました。そして、妻ともその店で出会いました。
那須町に住む人のための店にしよう
独立にあたって、当初は観光客向けの店を想定していたのですが、建物を借りるぎりぎりのタイミングで、地元の人に日常的に利用してもらえる店にしようと、プランを修正しました。そうすれば、観光地特有のシーズン期を考えずに店を運営することができます。店の名を「生活道具店」としたのもその理由からです。
自分たちと同じ30~40代の方を客層として想定していたのですが、50代、60代の方々にもとても重宝していただいていて、それはうれしい誤算でした。那須町には、時間的にも金銭的にも余裕のあるそれくらいの年代になってから、自分たちの理想の生活を求めて移住してこられた方もたくさんいます。
来た当初よりももっと那須町が好きに
那須町に移住してからの日々を振り返ってみれば、結婚して、家も建てて、自分の店も持ってと、やりたいことがひとつずつ実現しています。何が功を奏したのか──それは、間違いなく那須町での人とのつながりです。
とくに店の準備をし始めると、本当にいろいろな人たちが助けてくれました。必要な場所に案内してくれたり、アイデアをくれたり、店のオープンを告知してくれたり。いざ自分が求めると、人とこんなにつながれる町なのだということをあらためて実感しました。
もちろん、那須町での生活には不便なこともあります。車社会のため、徒歩圏での利便性は低く、運転をしない方々にはあまり向かないかもしれません。
ただ、僕自身にとって、「那須町に暮らして損だと思うこと」ってまったくないんです。だから、那須町の空気感が気に入ってここに住みたいと思う人なら、きっと大丈夫。
僕の妻も神奈川からの移住者ですが、僕も妻も那須町に来たときより、今のほうがずっとずっと那須町のことを好きになっています。
もし、那須町への移住を考えている方がいたら、ぜひ店で声をかけてもらえたらと思います。
都合がつく限り、その季節でいちばん僕らが自慢したい那須町をご案内しますし、そういう方に那須町の良さを伝えられることが、ここに住む僕らにとって何よりもの喜びなんです。
千葉県出身。那須町に移住後、キャンドル専門店で7年半勤務したのち、独立して妻と2人で「那須高原の生活道具店 ホワイトノート」をオープン。品物は展示会などに足を運び、自らの目で確かめ、夫婦でセレクトしている。